2016年の12月からずっと積読にしてしまっていた知らないからできる既成概念を覆す「0(ゼロ)ベース思考」をやっとこさ読みましたので、その感想を。
概要
目次
- プロローグ
- 第1章 逆境はチャンス
- 第2章 流れの改善が業務のキモ
- 第3章 既成概念からの開放
- 第4章 マネジメントが変われば現場も変わる
- エピローグ
総論
TOC(制約理論)の各概念をTOCの用語を使うことなく小説仕立てでざっと説明した本。
TOCの本といえばThe Goalシリーズ が有名ですが、どうしてもあの1冊1冊のボリュームに「うっ」って成ってしまいがちなところを数冊分のコア要素を、がっと圧縮した内容になっています。
前半では、TOCのポイントであるスループットの最適化を使って主人公のケイとサラが工場を不良品の山や、閉鎖寸前の工場の問題と向かっていきます。
後半では、TOCのプロジェクトマネジメント手法であるCCPM(Critical Chain Project Management:クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)によって、新規Projectの早期リリースの実現が描かれます。
これ単体で、TOCを理解するというよりは、TOCについて学んできた人が、TOCの言葉を使わずに現場に適応していくための参考や、TOCをこれからやってみたい人の触りの本としてオススメします。
巻末に「サラのオススメ本」というコーナーもあり、小説を読み終えたとたん、次の本をもっと読みたくなるという素晴らしい導線が貼られてますw
感想・学んだこと
2時間ほどでざっと読めたのに、各所から気づきを得ることができる良書でした。
実話をベースにした小説ということだが、主人公ケイのスピード感とか、組織の決断や関係者の理解スピードなんかは実際のところどうだったのか気になるところです。
- ODSCの重要性
目的(Objectives)、成果物(Deliverables)、成功基準(Success Criteria)をまとめて、ODSCと呼ぶ。
第1章ではお偉方と、第4章ではプロジェクトメンバーとODSCをすり合わせて行くのだが、このコンセンサスが取れていることで、意思決定の速さやチームの自発的な行動が促進されている。
最近、自分のProjectでも目的(リリース後に期待しているもの)や、成功基準(どんな属性の人からどれくらい良い評価をもらえるか)みたいな事を決めたところ、チーム内での会話がスムーズになったのを感じている。
IT系のProjectってQCD(品質・コスト・納期)か、これに+S(スコープ)を決めてスタートすることが多いけど、まずQCDS以前に、ODSCを決めて合意とる事を意識したい。 -
開発Projectの6つの視点
4章のなかで、技術者たちと開発Projectの目標設定を行うときに語られていた6つの視点。1,2,3,4くらいまではこれまでキックオフや振り返りのワークで触れてきたことがあったが5,6についてはなかったので今後取り入れていきたい。(:以降は個人的な理解)- 財務の視点:利益がでるか
- 顧客の視点:顧客に受け入れられるか
- 業務プロセスの視点:プロセスに無駄はなく模範的か
- 成長と育成の視点:人材・チームは成長しているか
- 経営理念の視点:会社の理念にそっているか
- 社会貢献の視点:成果物はよりよい社会へとつながるか
- 後ろから考えて前から確認する。工程表を作る3つの質問
質問自体はTOCfEのCLRと同じ感じ。質問をする前に前提として、納期とは一度切り離して、目標から遡って何をやる必要が洗い出していく事が大切そう。- 「その前にやることはなんですか?」
- 「本当にそれだけですか?」
- 「XXしたらYYできるんですね?」
- 過去ではなく未来を変えるために、進捗確認を変える3つの質問
これについては、毎日15分以内でやってるデイリーMTGでやっていきたい。ただ、デイリーで「あと何日でできますか?」みたいな粒度の大きな進捗よりももっと細かくしておきたいので、「明日のデイリーMTGまでにできますか。」くらいにして試してみる。- 「どこまでできましたか?」→「あと何日でできますか?」
- 「問題はありますか?」→「問題があるとした何ですか?」
- 「何か助けられることはないですか?」
2時間程度で読める内容ながら、色々と職場で試してみたい事が整理できた。積読してないで、とっと読めばよかったw